- 2021/12/01
- Webマーケティング
「インフルエンサー・マーケティング」のメリットと「ステマ」の注意点
従来のテレビ・新聞などの広告媒体のあり方が、今、大きく変化してきているなか、企業としてどのようなマーケティング戦略を持つかが重要です。
SNSにアップした写真や動画、口コミ情報がきっかけでヒット商品となったり、行列のできる人気店が出現したりすることが多くなりました。
今回は、注目されている「インフルエンサー・マーケティング」の概要と、企業が陥りやすいインフルエンサー・マーケティングの「ステマ」問題について説明します。
広告媒体の変化
高い広告費をかけてテレビCMを流したり、新聞や雑誌に広告を出したりしても、テレビを見たり新聞を読む人が減少し、従来の広告媒体の宣伝効果が低下してきています。
折込チラシやダイレクトメール、ポケットティッシュやノベルティのような広告手段も、費用対効果で考えると、商品・サービスの売り上げにつながる確率は低くなってきています。
それらに代わりSNSを通して低予算で商品やサービスをアピールし、効果的に売り上げにつなげる方法を、企業が採用するようになってきました。
自社以外でもTwitterやInstagram、YouTubeやTikTokなどで影響力があるタレントやインフルエンサーを通し、商品やサービスをアピールする手法があります。
「インフルエンサーマーケティング」という手法です。
「インフルエンサーマーケティング」とは
近年注目されている「インフルエンサーマーケティング」について紹介します。
タレントやSNSのフォロワーが多く一般の人に影響力ある人を「インフルエンサー(influencer)」と言います。彼らの発信する情報は、世間に大きな影響力を持ちます。
インフルエンサーの情報発信力を活用して、企業が商品やサービスを宣伝することを、「インフルエンサーマーケティング」と呼びます。
「インフルエンサーマーケティング」発展の背景
個人がブログやSNSで情報発信するようになり、数万人を超えるユーザーを持つインフルエンサーが多くなりました。
カリスマ的なインフルエンサーの発言が消費者の購買意欲に影響を与えるようになり、フォロワーの多い「インフルエンサー」を企業が注目するようになりました。
日本でも2010年頃には、企業がインフルエンサーを通して商品やサービスを宣伝する「インフルエンサーマーケティング」が盛んに行われるようになります。
2011年頃からYouTubeが飛躍的に伸び、HIKAKINなどのYouTuberが、インフルエンサーとして脚光を浴びるようになります。
企業はYouTuberに、商品やサービスを利用してもらい、そのプロセスを動画で流し、他のユーザーに“拡散“されることで、商品・ブランドの認知力や購買意欲を高めています
「インフルエンサーマーケティング」の企業展開
インフルエンサーマーケティングで有名な企業に「UUUM」があります。
「UUUM」は、2013年に代表者である鎌田氏がHIKAKINと出会い、YouTubeを利用した販売事業の会社「ON SALE」を設立し、後に「UUUM」としてマザーズに上場します。
鎌田氏は、企業との商談の進め方のわからないYouTuberをサポートし、日本で始めて会社として、インフルエンサーと企業をつなぐ「インフルエンサーマーケティング」に乗り出します。
「UUUM」には多くのの人気YouTuberが所属し、企業がYouTuberに商品を紹介してもらう、マルチチャン・ネルネットワーク(MCN)ビジネスが始まります。
アメリカでは既に2009年頃から、YouTuberなどのオンラインクリエイターを抱えるMaker StudiosがMCNビジネスを始めています。
MAKERは2014年にディズニーに買収されるなど、クリエイターと企業をつなぐネットワークビジネスは、今やグローバル展開し、MCNはますます広告の主流となってきています。
インフルエンサーマーケティングとステマの問題点
「インフルエンサーマーケティング」には多くのメリットがありますが、SNSのインフルエンサーの情報発信をコントロールすることは難しく、悪い口コミが広がることもあります。
また、企業が故意に、良い口コミ情報を拡散し、消費者を惑わすこともあります。これば「ステマ」と呼ばれています。
「ステマ」とは、ステルスマーケティング(Stealth Marketing)の略語で、消費者を欺いて、好評価の口コミを流すことで、「ヤラセ」や「サクラ」にあたる行為です。
ヤラセにも関わらず、ネットの口コミやレビューで間接的に情報を得ることで、より信憑性を感じる「ウィンザー効果」も生まれ、消費者を意図的に購買へ導くことになります。
「ステルスマーケティング」に陥る危険性
「ステルスマーケティング」とは、企業が消費者に「宣伝ということを隠して宣伝する」行為で、アンダーカバー・マーケティング(Undercover Marketing)とも呼ばれています。
欧米では、これらの宣伝手法は、『消費者に対する不公正な欺瞞に当たる行為』として法律で禁止されていますが、日本ではまだ明確な法規制ができていません。
しかし、大手企業が「まとめサイト」で、故意に企業にとって有益な情報を流したとして、社会問題となったことがあります。
また、「食べログ」の評価が疑問視されたり、ソニーや任天堂などの有名企業に、ステマ疑惑が起きたりしたこともあります。
企業の広告担当者やWebメディアの運営者は、「インフルエンサーマーケティング」の概念を正しく理解し、「ステマ」と間違われないよう気を付ける必要があります。
「ステマ」に陥らないために
「ステルスマーケティング」はゲリラ・マーケティングとも言われ、情報発信者の責任関係が曖昧であり、また、「広告表記のない宣伝行為」と定義づけられています。
「ステマ」にならないためには、情報の発信者が誰であり、その情報が「広告であることを表記する」必要があります。
「広告表記」するには、インスタグラムなどのSNSでは、「#PR」「#AD」などのハッシュタグを付ける必要があります。
また、有名人を起用して、日常的に使っていないにもかかわらず、愛用者であることを強調し、「あの人も使っているおすすめ商品だ」と思わせる広告は、「ステマ」にあたります。
「まとめサイト」や、「ぐるなび」などの「評価サイト」で、お金を払って良い口コミを書いてもらうのも「ステマ」行為です。
企業として組織的に第三者に依頼して、広告であることを隠し、SNSで良い評判を流すことは、消費者を欺いていることになるためです。
「ステマ」と判断されれば、社会的信用を失い、企業が消費者との信頼関係を回復するのには、多くの時間と費用が必要になります。
「インフルエンサー・マーケティング」は、有効な宣伝手段ではありますが、「ステマ」に陥らないためには、SNSの正しい利用方法を、再度検討する必要があります。
まとめ
テレビを見たり、新聞を購読したりする人が減り、インスタグラムやYouTubeのような画像・動画配信サイトで、人々が情報を得るようになってきました。
そのため、SNSを利用した広告が主流となり、専門的にSNSのクリエーターと企業を結ぶ「MCNビジネス」が世界的に展開するようになってきています。
ブログや画像・動画配信サイトでフォロワーの多いクリエーターを「インフルエンサー」と言い、彼らをマネージメントして広告配信することを「インフルエンサーマーケティング」と言います。
しかし、広告だとわからず、良い情報を流して消費者を購買へと導く方法は、「ステルスマーケティング(ステマ)」として、海外では法律的に禁止されています。
日本も、今後法規制が整うであろうこと、また、一度失った消費者の信頼やブランドイメージを取り戻すには時間と費用がかかり、企業の存続にも関わることを認識しましょう。
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